次期社長の甘い求婚
本当なの? 神さんの話は。
だってこんなの、あまりに私にばかり都合が良すぎるじゃない。……それに。


散々聞かされてきた神さんの恋人の存在を思い出し、我に返る。


そうだよ、神さんには恋人がいるはず。


「あのっ……例の彼女さんは?」

「は? 彼女?」


さっきまでの甘い瞳は一変。鋭い視線を向けられてしまい怯んでしまった。


「ちょっと待って美月。まさか美月、あのガセネタを信じていたの?」

「ガセネタ……ですか?」


怒りを含んだ声に怯みつつも、気になるワードをオウム返ししてしまう。


「あんなの、嘘に決まっているだろ? 俺が美月以外の女を好きになるわけない」


その瞳はとても嘘をついているようには見えない。


嘘……じゃあ神さんが話していることはすべて本当なの?
神さんは今も私のことを……?


にわかには信じられない話に、胸が高鳴り出す。


「じゃっ、じゃあ一週間前、テレビで言っていた大切な人って……?」

「もちろん美月のことに決まっているだろ?」
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