次期社長の甘い求婚
即答した彼に、もう嘘じゃないんだと認識させられていく。


それが彼にも伝わったのか、苦笑いした。


「やっぱりあのガセネタを信じていたんだな。……だから鈴木君と結婚しようと思ったわけ?」

「……っ!? どうしてそれをっ……?」


驚く私に神さんは笑顔で答えた。


「高岡さん、美月のお父さんに聞いたんだよ。……実はあれからなにかとお世話になっているんだ。美月の様子もこっそり教えてもらっていたし」


全然知らなかった。

まさかお父さんと神さんが接点を持っていたなんて。
それに何よ、お父さんってば。私の様子を神さんに教えていたなんて……。


びっくりする話に茫然としてしまう。


「聞いた時は腰を抜かしそうになったよ。……どこかで美月も俺と同じ気持ちでいてくれているとばかり思っていたから」


「それはっ……!」


「大丈夫、分かっているから」


悲し気に囁かれた瞬間、すぐに声を上げるも神さんの声に被されてしまう。


「俺が他の女と結婚すると思って、自分も前に進まないとって思ったんだろ?」
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