次期社長の甘い求婚
確信を得た目で見つめられ、なにも言えなくなってしまう。


「高岡さんから聞いたよ。結婚の話はなくなったって。……それってさ、俺は自惚れてもいいの? 今も美月は俺のことを好きでいてくれているって」


聞いてくるくせに、その目は先ほど同様確信を得ている。


神さんはズルイ。

私の考えていることなんてお見通しなんでしょ? それなら私の気持ちだってとっくに知っているくせに、こんな聞き方してくるなんて。


「大好きに決まっているじゃないですかっ……!」


頬を膨らまし抗議するように言い、そのまま神さんの胸に飛び込んだ。


「どんなに忘れようと思っても、忘れられないくらい好きです! 神さんが他の人と結婚しちゃうなら、私一生独身で生きて行こうと思っていたくらいっ……」


泣きじゃくりながら気持ちを伝えて行くと、神さんはギュッと私を抱きしめてくれた。


「それは嬉しいね。俺も同じこと思っていたから。……もし、美月が鈴木君と結婚してしまったら、一生独身を貫こうと」

「……え」


思いがけない話に顔を上げると、そのまま唇を塞がれてしまった。

「ンッ……」

啄むキスを何回も落とされていく。
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