次期社長の甘い求婚
次第に深くなる口づけに息が上がりそうになると、ゆっくりと離れていく唇。


瞼を開けると、今にも泣き出してしまいそうに大きく瞳を揺らしている彼が目に飛び込んできた。


「ずっと美月を迎えにいくことだけを考えて過ごしてきたっていうのに、どうしようかと思った。……俺には美月のいない人生なんて、考えられなかったから」


「神さん……」


そっと名前を呼ぶと、再び塞がれる唇。
何度も角度を変えて交わすキス――。


「やっと一人前になれた。他がなんて言おうと美月を嫁さんにできるくらい」


キスの合間に放たれる言葉。


離れていた三年分を取り戻すように、落とされるキスにクラクラしてしまう。


離されては塞がれてを繰り返し、どれくらいの時間が過ぎただろうか。


お互いの息はすっかり上がってしまい、それでも名残惜しそうにリップ音を立てて離れた唇を目で追ってしまう。


「なぁ、美月覚えているか? 以前俺のことを王道ヒーローだって言ったこと」


問いかけに深く頷いた。


覚えているに決まっている。
神さんは誰もが認める王道ヒーローだもの。
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