次期社長の甘い求婚
「さっき散々神様の前でキスしちゃったけど、もう一度。……一生幸せにするよ、美月」


私を抱き抱えたまま足を進め、神様の下までくるとそっと下ろしてくれた。

そしてまた愛しそうに私を見つめてくる。


「私も、神さんを幸せにします。……ずっと」


神様に誓います。

この先なにがあっても、神さんを幸せにすると。
三年前に抱いた感情は変わらないと。……それはもちろん、これから先もずっと――。


「愛しているよ、美月」


初めて声で聞く「愛している」の言葉。


三年前は動く口元で伝えてくれたよね。
あのとき私も神さんに伝えたかったの。


ゆっくりと近づく距離。
そのスピードの合わせるように瞼を閉じる中、囁いた。


「私も愛しています」と――。



王道ヒーローのような神さんになんて、全く興味なかった。
平凡でもいい。当たり前の幸せが欲しかった。


それなのに神さんを好きになってしまった。
それも幸せにしてあげたいと願ってしまうほどに――。
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