次期社長の甘い求婚
だけど今はもう怖いとは思わない。

精一杯頑張ろうと思える。もう二度と神さんと離れることはできないから。


誓うようにギュッとしがみつくと、それに答えるように神さんもまた抱きしめ返してくれた。


「バカだな、美月は。言っただろ? 悲しい思いは二度とさせないって」

「……でも」


家族の方は反対すると思う。
私と結婚したって、なんのメリットもないだろうし。


不安が押し寄せる中、神さんは私を安心させるように話し出した。


「大丈夫。俺が美月と結婚すること、反対なんてさせねぇよ。……つーか取りこし苦労かな」

「え、どういう意味ですか?」


抱きしめられたまま問いかけると、頭上からは「フッ」と笑みがこぼれた。


「それはもちろん、美月が高岡さんの娘だからだよ」

「……お父さんの娘、だから?」


ますます意味が分からず、オウム返ししてしまう。
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