次期社長の甘い求婚
「あぁ。知っているだろ? 美月のお父さんの経営する会社。うちと同じくらいの大手なんだぜ? そこ娘さんって聞いたら誰も反対しないよ。……そこらへんは高岡さんがうまく俺の家族に言ってくれるって約束してくれている」


「お父さんがですか?」

「そ。……美月のこと大切だから力になるってさ」


お父さん……。


ますます神さんは私を抱きしめる腕の力を強めた。


「だから美月はなにも心配しなくていい。俺のそばにいてくれれば。……そうしたら俺はもっと頑張れるから」


最後に「分かった?」と言うと、少しだけ身体を話し私の顔を覗き込んできた。


そんな神さんにキュンとされつつも、笑顔で頷く。


「分かりました。ずっとそばにいます。……あとで離れろって言われても、一生離れませんからね」


再度自分から抱き着くと、神さんは嬉しそうに笑った。


「望むところ。つーか離してって言っても、俺が離してやらないから」


好きな人と交わす言葉も、触れるぬくもりも、全てが愛しい。

こんな幸せを知ってしまったら、もう二度と離れることなんてできないよ――……。
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