次期社長の甘い求婚
「よーし、みんな終わったな。じゃあさっさと行くぞ」


課長の一声で庶務課を後にしていく面々。


前方の方では「どこの店に行こうか」とか「二次会までやろう」なんて声が聞こえてくる。


陽気で楽し気な会話に耳を傾けながらも、後方で後をついていく。


営業所にはエレベーターが一機しかなく、大抵みんな階段を利用していた。


この日もゾロゾロと階段を下りて、一階へ向かっていく。


「みんなで呑みに行くのは楽しいよね」


声を掛けてくれたのは、鈴木主任だった。


「あっ、はい」

一番下っ端の私を気遣ってか、飲み会の日に少しでもひとりでいると、こうやって声を掛けてくれる。


「まぁ、一番年下の小野寺さんにとったら、迷惑な飲み会かもしれないけど」

「そんなことないですよ? 毎回楽しませていただいています」


こんな風に気遣ってくれる鈴木主任がいるから余計に。

心の中で付け足していると、一階に辿り着きロビーを抜けていく。
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