次期社長の甘い求婚
その対応をしたのが鈴木主任だったのだから、こういった気遣いは当然なのかもしれないけど……全然嬉しくない。

むしろ気持ちは朝だというのに沈んでいくばかりだ。


「そんな気遣い無用です! 仕事は仕事じゃないですか」


口調が荒々しくなってしまう。
いつも通り接しなくちゃいけないと分かっているのに、気持ちはついてきてくれなかった。


「そう、だよね、ごめんね。……じゃあよろしくお願いします」

「あっ……!」


いつになくしょんぼり落ち込む声に我に返った時には既に遅し。

鈴木主任は力なく笑い、背中を丸くさせトボトボと自分のデスクへと戻っていった。


あぁ、もう。なにやっているのかな自分!!

鈴木主任はなにも悪くないじゃない。むしろ気遣ってくれたというのに。


大きな溜息が漏れてしまう。

自分の失態を他人のせいになどしたくないけど、今回ばかりはどうしても思ってしまう。


これもそれも全部、神さんのせいだって。
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