次期社長の甘い求婚
だから自分が弱っている時はなるべく会わないようにしていた。

メンタルが強くないと、亜紀の言葉を受け入れられず打ちのめされてしまうから。


亜紀とやってきたのは、会社近くにあるオープンカフェ。
この時間は私達と同じOL達で満席だ。

プレートランチセットを頼み、食前にお願いした紅茶を口に含むと、嫌でも感じる視線。


いや、この不快感満載の視線は会社を出るときからずっと感じていた。


ごくりと紅茶を飲み込み、いまだに私を不快な目で見る亜紀を見据えた。


「私が相談したいこと、分かっているんでしょ?」


「それはもちろん! 我が営業部に配属された恭様のことでしょ? いや~、あんたすごいじゃない!! 冴えない眼鏡にかまけていた時間が一気に取り戻せたじゃん」


「ちょっと、冴えない眼鏡ってなによ!!」


亜紀はいつも鈴木主任のことを〝冴えない眼鏡男子〟と呼んでいる。
失礼にもほどがある呼び名だ。

すかさず突っ込むものの、亜紀は平然としたまま話を続けた。


「だって本当のことじゃない。私はいつも言っているでしょ? あ~んな冴えなくて、おまけに婚約者までいる男に恋している時間が無駄だって」
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