次期社長の甘い求婚
いつもこうだ。
亜紀は会うと決まって同じ言葉を繰り返す。
「無駄な時間じゃないから」
そのたびに私もまた同じ言葉を繰り返す。
亜紀とは気が合うし、お互い一緒にいて居心地が良い。
ところがどうも恋愛の価値観というものは、違うのだ。
そこへ注文したランチプレートが運ばれてきて、一時会話が途切れる。
けれど店員が遠のいていくと、フォークを手に取りながら亜紀は大きな溜息を漏らした。
「冗談抜きでいい機会じゃない、冴えない眼鏡から卒業する。この二日間、間近で見てきたけど恭様、な~んか美月のこと本気っぽいし」
「……まさか」
ちょっぴり〝本気〟というワードにドキッとしつつも、平静を装いパスタを口に運んでいく。
「嘘じゃないって。しょっちゅう営業部や他の部署の女の子に声かけまくっていたのに、この二日間はまるで別人みたいに仕事に没頭しちゃってさ。まぁ、仕事は以前から真面目にやっていたけど、今の恭様からは鬼気迫るものがあるわけよ」
ゴクリと口に含んでいたものを飲み込み、フォークでパスタを突く亜紀をガン見してしまう。
亜紀は会うと決まって同じ言葉を繰り返す。
「無駄な時間じゃないから」
そのたびに私もまた同じ言葉を繰り返す。
亜紀とは気が合うし、お互い一緒にいて居心地が良い。
ところがどうも恋愛の価値観というものは、違うのだ。
そこへ注文したランチプレートが運ばれてきて、一時会話が途切れる。
けれど店員が遠のいていくと、フォークを手に取りながら亜紀は大きな溜息を漏らした。
「冗談抜きでいい機会じゃない、冴えない眼鏡から卒業する。この二日間、間近で見てきたけど恭様、な~んか美月のこと本気っぽいし」
「……まさか」
ちょっぴり〝本気〟というワードにドキッとしつつも、平静を装いパスタを口に運んでいく。
「嘘じゃないって。しょっちゅう営業部や他の部署の女の子に声かけまくっていたのに、この二日間はまるで別人みたいに仕事に没頭しちゃってさ。まぁ、仕事は以前から真面目にやっていたけど、今の恭様からは鬼気迫るものがあるわけよ」
ゴクリと口に含んでいたものを飲み込み、フォークでパスタを突く亜紀をガン見してしまう。