次期社長の甘い求婚
ゆっくりと顔を上げれば、眉を寄せて目尻を下げ、実に頼りない顔で私を見る神さんと視線がかち合う。


「確かにキミの言う通り、俺になびかないからというのも一理あると思う。でも恋愛するきっかけなんて、そんなもんだろ? 些細なことだったり、一目惚れだったり」


「そう、かもしれないですけど……」


「自分でも驚いているんだ。たった数日しか経っていないのに、今日も仕事中、ずっとキミのことばかり考えてしまっていた。……早く顔を見たくてたまらなかったよ」


真っ直ぐなな言葉に赤面してしまう。


唇を噛みしめただ神さんを見つめることしか出来ずにいる私に、追い打ちを掛けるように、ストレートな気持ち言ってきた。


「配属して数日後にはキミの存在に気づいていたよ。綺麗な子だなって思っていたんだ。目で追っているうちに、面倒な仕事でも嫌な顔せずしているキミを見かけるようになってさ。いつか話してみたいと思っていた……だからあの日はチャンスだと思ったんだ」


意外な神さんの話に、驚くばかり。

まさか私のこと、そんな風に見てくれていたなんて……。
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