次期社長の甘い求婚
ただの興味本位だとばかり思っていた。

なのに反則。そんなこと言われちゃったら、私も本音を言わざる負えないじゃない。


「だから決して軽い気持ちでキミに本気だって伝えたわけじゃないから。……それだけは分かって欲しい」


とてもじゃないけれど、嘘をついているようには見えない。――ということは本当、なんだよね? 神さんは私のことを――……。


言われても半信半疑だった。むしろ信じていなかったと言っても過言じゃない。
それなのにまさか本気だったなんて。


実感していくと恥ずかしさに襲われていく。


「どうやら俺の気持ち、少しは伝わったようだな」


私の顔を見て満足気に微笑む姿に、居たたまれない気持ちになる。

タイミングよく注文した料理が運ばれてきて、お店の人が丁寧に一枚一枚肉を焼いていき、すき焼きを作っていく過程を、ボーっと見つめる中、頭を駆け巡るのはさっきの神さんの言葉。


神さんが本気……。


聞かされた今も信じられないけれど、もし本当なら――。

「どうぞお召し上がりください」
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