次期社長の甘い求婚
そしてなぜか急に笑い出した。


「え、あの、鈴木主任?」


どうして笑っているのか分からず首を傾げてしまうと、その理由を語り出した。


「いつも小野寺さんと話していると、思うことがあってさ。……俺に妹がいたらこんな感じなのかなって」

「……え」


妹……?


固まる私を余所に、鈴木主任は照れ臭そうに頭を掻きながら話を続ける。


「そ。ダメな兄貴とよくできた妹。そんな感じがしない?」


同意を求められるも、笑顔が引きつってしまう。

だって私はそんなこと、一度も思ったことがないから。

鈴木主任のこと、“お兄ちゃんみたい”と思ったことは一度もない。


「だからここだけの話、他のみんなより小野寺さんのこと気になっちゃうんだよね。なんか、放っておけないって言うかさ……」


ごにょごにょと言葉を濁す鈴木主任を目の前に、私の胸はさっきからズキズキと痛んで苦しい。

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