幼なじみが父親宣言。
咄嗟に智史が私を庇ってくれたお陰で、痛くはない。

痛くはないんだけど、代わりに、ふにゅ……と、温かくて柔らかい何かが、私の唇に触れる。

その瞬間、パッ!と電気が点き、それが何なのか、明確になった。

目の前には、智史の顔。

そして、私の唇に触れているのは、智史の唇だった。

「……っ!!」

ガバッ!と智史から体を離す。

私は震える手で、口元を覆い隠した。

智史も私と同じ様に、口元を手で押さえて目を見張る。

(う、うそでしょ……?)
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