幼なじみが父親宣言。
私はそれを、見ているだけだった。

だって、疲れるし。

案の定、ダンボール箱を抱えて戻って来た智史は、ゼーゼー息を切らせていた。

「おつかれ」

「はぁ……はぁ……おう……はぁ……はぁ……」

息が整うのを待って、また歩き出す。

「それ、買い物中ずっと持っておくの?」

「いや、モール内のコインロッカーに預けるよ。流石に邪魔になるし」

「あ、なるほど」

お母さんの会社はショッピングモールよりも向こうだし、良い案かも。

てくてくと、なんとなく無言で歩く。

そう言えば、折角気合いを入れてオシャレして来たのに、なんの感想も言って貰ってない。

でも、自分から「可愛いでしょ!?」って、聞けない。

どうしたもんか……。
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