幼なじみが父親宣言。
「……え?」

智史の顔とその小箱を、交互に見た。

「やる」

「……ええっ?いやいや、なんで!?」

「なんで…って……欲しかったんだろ?」

「そ、そうだけど……」

「だから」

「だからって……」

「細かい事は良いじゃん。ホラッ!」

ポスッ……と手の上に乗っけられる。

「……………」

「なんだよ。嬉しくねーの?」

智史が私の顔を覗き込んで来る。

「……嬉しいです」

嬉しくないワケがない。

本当は、飛び回るくらい嬉しい。

「ありがとう」

涙を堪えて、智史にお礼を言った。

「お、おう……」

鼻の頭をポリポリ掻く。

照れた時のクセ。
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