時の詩-暁の獣-
住み慣れた我が家を出た
ルークはどこへ向かえばいいかもわからないが
とにかく状況の把握をしなければと思い隣街に向かうことにした.

ルークの住む街は大陸の外れの小さな島にある.
その島の名はルビリア
その島にたった二つだけある街.島の東側にあるのがルークの住むもせの街.逆に島の西側にあるのが隣街のいて.
この二つの街は古来よりずっといがみ合ってきた簡単に言えば波長が合わないのだろう.
もせの街といえば街人達はみな活気に溢れ何をするにも騒々しく荒々しい.
男達のガタイはよくその力を見せることで女達を魅了する.だが見た目とは打って変わって人柄はおおらかで優しく暖かく互いに助け合いながら暮らしている人々だ.
だがいての街の人々はこれとは逆の人々だった.活気はあるがもせの街とはまた違った気品のある活気とでも言おうかそんなものが感じられる.
何をするにも慎重に卒なくこなす.だが人々の体は細く痩せていてまるで箸のような体つきだ.しかし皆、頭のきれる知恵の持ち主でないものは作るかどこからか調達してくる.それが出来ないものはなしでいい.そういった考えの持ち主たちだ.
人柄も冷たく冷静沈着でとても神経質だ.
もせの街を助け合いの街だとするといての街は自立の街となるだろう.
そんな真逆の性格や暮らしをしているこの二つの街はいつも互いの街の悪口を言い合っていた.

「もせの者達はまた今日も騒がしく饗食を交わしているそうだ.なんとも騒がしい奴らだないざとなったらしっぽを巻いて逃げるに決まってる」

「いての奴らは居つもまた日暮れとともに床に付いたようだ.奴らには楽しみを作る脳はないのだろうな」

長年にわたり互いをけなしあってきた.それが当たり前のように....
さしてルークといえばいての街の人々に興味はあったが少し苦手意識があった.
だがこうなってしまった以上行かない訳にはいかないのだ.意を決し街を出発し島の反対側へと足を向けていた.
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