ある獣人少女のはなし



そして一ヶ月が経ったある日、男は地下室に行った。

地下室はひどい有り様で、
床は血が飛び散り、
赤く染まっていないところは無いんじゃないかという程だった。

ふと、耳を澄ますとがりっがりっという音が聞こえた。

そちらに目を向けると、そこには体育座りをした少女が自分の指を食べていた。

目を極限まで見開き、斜め下を向いて何か物欲しそうに。

「ひっ……」

あまりの異常な光景に男は声をあげた。

少女は男の存在をみとめると、

ニタァと不気味な笑みを浮かべて、トコトコトコと歩いてきた。

「よ、よるな!!」

男が逃げようとしたら、腰が抜けてたてなくなっていた。

「くそ、くそ!!」

後退りながら、歩いてくる少女から逃げた。

少女はまるでおちょくるようにニタニタしながら男に近付く。



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