ある獣人少女のはなし
「あのね、この薬草を昼までにとってきてくれないかしら?」
と師匠に本を渡された。
その内容に驚いた私の顔は物凄く真っ青になっていたことだろう。
「ちょ、し、師匠、これ……。
ムーン草じゃないですか!?」
まるで三日月のような花がつくその薬草は、幻の薬草という呼び名の通り、滅多に見つからない薬草である。
その薬草で薬を作ると、どんな奇病でも治るという。
だが育てるのは難しく、植え替えるとたちまち枯れてしまうとか。
だから見つけるしか道はないのだが……。
最近見つかったのって六十年は前って聞いた気がする(白目)
「無理です、無理ですよ!?」
「無理って言うからできないのよ。それにこれはお願いじゃなくて、命令よ」
ギロッと効果音が付きそうなほど睨まれた。
いくしかないか……(泣)