春色プロポーズ
悠くんと暮らし始めてからは大々的にお祝いはしてないけれど、毎年ちらし寿司だけは作っていた。
今日も帰りは、悠くんと一緒の予定。近所のスーパーに寄って行こう。
ありがたいことに、この会社。社内恋愛には厳しくなく、私と悠くんは会社の人公認の仲。だから定時近くに上がれるときは、一緒に帰っている。時々上司に冷やかされ、後輩の悠くんファンには白い目で見られるけれど、そんなの関係ない!何も悪いことをしてるんじゃないから、自然にとしているのが一番。と自分に言い聞かせている。
「はる、こっちこっち」
悠くんと待ち合わせしているロビーに向かおうと階段を下りていると、先に来ていた彼が大きく手を振って私の名前を呼んだ。慌てて駆け寄ると、その腕を掴み会社の外へと引っ張りだした。
「悠くん、いくら会社公認だからって、大きな声で呼ばないの。また悠くんのファンに噂されるじゃない」
そんなの関係ない!なんて言ったけど、実はそのあたりすっごく気にしてたりする。
だって悠くんファンの女の子たちは、若いし可愛いしいい香りがするし。髪型もファッションも素敵で、どこをどう見ても私に勝ち目はない。悠くんがいつか変わり目しちゃうんじゃないかと、気が気じゃない。