レーザービームの王子様
カウンターにひとりで座っていたスーツ姿のおじさんが、店内にあるテレビのチャンネルを変えた。

映し出されたのは、夜のニュース番組。ちょうど、スポーツニュースのコーナーだ。



「おっ。シャークス勝ったんだ! やった」



今日のシャークスは18時から対タイタンズ戦。6対1で快勝だったとの報道に、思わずガッツポーズをする。



「ふーん。シャークスって今リーグ何位? 6位?」

「なんで最下位よ! 4位だっての!」

「びっみょーじゃん」

「なんだと~~??!」



プロ野球情報はさらに続いて、ウィングス対ソルジャーズ戦のハイライトが映し出された。

総司への反論をやめ、つい、テレビに釘付けになる。



「……あ。ウィングス」



私のつぶやきを聞いて、総司もテレビへと目を向けたのがわかった。

ハイライトは5回裏、ウィングスの攻撃を映す。

4対5のウィングス1点ビハインドで、ツーアウト2、3塁の場面。打席に立つのは、この日打順が3番目の久我 尚人。



《初球を見事捉えた久我、打球はセンターを大きく越えてフェンス直撃!!》



ニュースキャスターの熱のこもったナレーションとともに、2塁ベース上でこぶしを挙げる久我さんの姿が画面に映る。

テレビ越し、なのに。その笑顔を見て、自然と胸が高鳴った。
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