レーザービームの王子様
「む、むっちゃん……久我 尚人って、ここの常連だったの?」
「えー? いや、今日初めて来たよ。お連れさんはよく来てくれてる人だけど」
「ま、まじか……」
そうか私、ピンポイントで同じ日の同じ時間帯に来ちゃったのか。なんというバッドタイミング。なんという痛恨のエラー。
「いやー、今のカッコいい人プロ野球選手だったのかあ。サインもらえばよかったかな~」
「むっちゃん……」
意外とミーハーなむっちゃんに、遠い目を向ける。
横から伸びて来た手が、ひょいっと私の前にあったチケットをさらって行った。
「おお、いい席。すげーな、こんなとこ狙おうったってなっかなか取れねーぞ~?」
「総司……! ならそのチケット、あんたにあげるから!」
これ幸いとばかりに、私はテーブルの下でガッツポーズ。
そんな私に対し、我が幼なじみ殿はにっこり素晴らしい笑顔を向けてくださいました。
「なに言ってんの? ケンカ売ったのはおまえ、買われたのもおまえ」
「は、」
「いーじゃん、冥土の土産に最高の席で野球観戦。まっ、せいぜい楽しんで来いよー」
ぺし、と再び、私の目の前にチケットが叩き返される。
……冥土の土産って! なにそれ、私これから抹殺されるみたいじゃん!
「にしても、テレビで観るより迫力あったな~久我。ニックネーム通りのいい男だし」
「……『レーザービーム王子』ってやつ?」
自分で言いながら、つい先ほど見た本人を思い出してみる。
たしかに、整った顔してた。でもあれは、王子っていうより野獣の雰囲気じゃない??
あの、わっるそーな笑顔。絶対、イジメっ子タイプでしょ。
「ああ……私抹殺されるんだ。社会的に」
「まあまあ。骨は拾ってやるよ」
「ううううれしくない……」
深町 すみれ、24歳独身。
6月某日、馴染みの居酒屋で、うっかりプロ野球選手にケンカを売ってしまいました。
「えー? いや、今日初めて来たよ。お連れさんはよく来てくれてる人だけど」
「ま、まじか……」
そうか私、ピンポイントで同じ日の同じ時間帯に来ちゃったのか。なんというバッドタイミング。なんという痛恨のエラー。
「いやー、今のカッコいい人プロ野球選手だったのかあ。サインもらえばよかったかな~」
「むっちゃん……」
意外とミーハーなむっちゃんに、遠い目を向ける。
横から伸びて来た手が、ひょいっと私の前にあったチケットをさらって行った。
「おお、いい席。すげーな、こんなとこ狙おうったってなっかなか取れねーぞ~?」
「総司……! ならそのチケット、あんたにあげるから!」
これ幸いとばかりに、私はテーブルの下でガッツポーズ。
そんな私に対し、我が幼なじみ殿はにっこり素晴らしい笑顔を向けてくださいました。
「なに言ってんの? ケンカ売ったのはおまえ、買われたのもおまえ」
「は、」
「いーじゃん、冥土の土産に最高の席で野球観戦。まっ、せいぜい楽しんで来いよー」
ぺし、と再び、私の目の前にチケットが叩き返される。
……冥土の土産って! なにそれ、私これから抹殺されるみたいじゃん!
「にしても、テレビで観るより迫力あったな~久我。ニックネーム通りのいい男だし」
「……『レーザービーム王子』ってやつ?」
自分で言いながら、つい先ほど見た本人を思い出してみる。
たしかに、整った顔してた。でもあれは、王子っていうより野獣の雰囲気じゃない??
あの、わっるそーな笑顔。絶対、イジメっ子タイプでしょ。
「ああ……私抹殺されるんだ。社会的に」
「まあまあ。骨は拾ってやるよ」
「ううううれしくない……」
深町 すみれ、24歳独身。
6月某日、馴染みの居酒屋で、うっかりプロ野球選手にケンカを売ってしまいました。