レーザービームの王子様
◇ ◇ ◇
やわらかくあたたかい、まるでもみじのようなそれに、そっと人差し指を差し出す。
小さな手のひらは予想外の力強さでぎゅっと俺の指を握りしめ、こみ上げるいとしさにじわりと目頭が熱くなった。
「ああもう、また尚人くん泣きそうになってるー」
ベッドで半身を起こしていたすみれが、仕方ないなあとばかりに苦笑している。
ゆうべの壮絶さが嘘のようにケロッとした顔をする彼女に、俺は尊敬にも似た眼差しを向けた。
「だって、俺の子どもだぞ? しかも娘だぞ? もはや嫁に行かせたくない……バイトも許さない……」
「早い早い。どんだけ過保護なの」
言いながら笑うすみれから、再び自分の真下にいる赤ん坊へと視線を戻す。
小さなベッドの上で、小さな身体で、じっとこちらを見上げながらうごうごと手足を揺らす俺の娘。
……かわいい。かわいすぎる。ガラス越しに他の家の赤ん坊も見たけど、絶対ウチの子が1番かわいい。
愛する妻が産んだ、自分と血の繋がった小さないのち。
この子をしあわせにするためなら、この先どんな辛いことがあったって耐えられる気がする。
……こんな、気持ちを。
俺が産まれたとき──あの頑固者な親父も、感じていたのだろうか。