レーザービームの王子様
──それから、約4時間後。



《試合終了です。ご覧の通り、6対3で東都ウィングスが勝利しました》


「いえーいやったー!」



場内に流れたアナウンスを聞き、私はお隣りのご婦人……もとい松永さんと、ツインスティックでパコパコとハイタッチを交わす。

私から仕掛けたものだけど、松永さん自身も「うふふ」と笑いながら楽しげに応じてくれた。


……結果から言うと。

今回のウィングス対タイタンズ戦。このエキサイティングシートでの試合観戦を、私は思いっきり満喫していた。


試合前は『ファンでもないのに感情移入できるかな』、なんて斜に構えていたけどところがどっこい。

まわりを固めるウィングスファンたちの熱気にあてられたのか、ウィングスの先発ピッチャーが三振を取れば歓声を上げ、相手ピッチャーの危険なデッドボールにはブーイングし、ウィングス野手がファインプレーをすれば松永さんときゃあきゃあ言いながらハイタッチ。

試合が終わった今は、気付けばまわりと同じようにウィングスのチャンステーマを歌えるまでに染まってしまっていた。



「ああ~勝ってよかったわー! ここ最近、私たちがドームで観る試合は負け続きでねー」

「ふふふ、今日はバッチリでしたね!」



横にいる旦那さんと顔を見合わせ苦笑する松永さんに、私はぐっと右のこぶしを握ってみせる。

ああ、素直におもしろかった。

ウィングスが1点ビハインド、つまり1点負け越した状態で迎えた6回裏、なんと逆転の3ランホームランが飛び出して。

その後も胸が熱くなるプレーを繰り広げながら点差を広げ、見事ウィングスが勝利したのだ。
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