レーザービームの王子様
「おお……っ」



これは……! 東都ドーム名物、みたらしだんご!!

私は透明パックを両手で持ち上げ、ひとり感動に打ちひしがれる。

1階コンコース内にある店舗でしか買えない、このみたらしだんご。いっつも行列が出来てるから、気にはなってたけど食べたことなかったんだよなあ。

まさか、こんなところで食べられるなんて!



「いただきまーす」



なんだかさっきからひとりごとばかりだ。はやる気持ちを抑えながらパックを留めている輪ゴムを外し、3本あるうちのひとつを手に取った。

人目がないことをいいことに、あーんと大口を開けてひとくち。


ふおお……! これはおいしい……!

白くてふっくらしたおだんご部分はやわらかく、たっぷりと塗られたべっ甲色のタレは上品な甘さ。

これで1パック3本入り400円だなんて、球場グルメ、侮りがたし……!

ビニール袋の中には、親切にも小さいサイズのペットボトル緑茶も入っていた。グッジョブ柴沼さん!


時計を見れば、現在時刻はとっくに22時をまわったところ。

万年ダイエッターな女子という生き物故こんな時間にがっつりおだんごなんて食べるべきじゃないとわかってはいるんだけど、この際それはスルー。だって今食べたいんだもん。
< 35 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop