レーザービームの王子様
今日は思いもよらないことばかりで、頭の中の処理が追いつかない。
……勝手なイメージで相手を測っていたのは、自分の方だ。
久我 尚人という男は、こんなにも、あたたかい心を持った人物だったのに。
「さて、そろそろここを出ないとな。帰り道わかる?」
「何回ドーム来てると思ってるんですか。なめないでください」
両手を腰にあててわざと偉そうに言えば、やっぱり久我さんが笑う。
「さすが。じゃ、家まで気を付けて」
「……はい」
答えるのに少しだけ間が空いてしまったのは、断じて『さみしい』とかそういう気持ちからじゃない。
……けど、きっと。この人とこうやって話すことはもうないんだろうなって。
きっと、これが最後なんだろうなって。
そう思ったら、少しだけ、ほんのちょっとだけ、……残念、だなって。
「すみれ」
不意に名前を呼ばれる。
テーブルの上のバッグに柴沼さんがくれたビニール袋を入れながら振り向くと、真顔の久我さんがこちらを見ていた。
「はい?」
「すみれ、ほんとに彼氏いない?」
「……なんですかそれ。いないって言ってるじゃないですか」
つい拗ねたような表情になる。これ以上自分の失言を抉られて、一体何だというんだ。
すると久我さんは、1歩こちらへと近付いて来て。
……勝手なイメージで相手を測っていたのは、自分の方だ。
久我 尚人という男は、こんなにも、あたたかい心を持った人物だったのに。
「さて、そろそろここを出ないとな。帰り道わかる?」
「何回ドーム来てると思ってるんですか。なめないでください」
両手を腰にあててわざと偉そうに言えば、やっぱり久我さんが笑う。
「さすが。じゃ、家まで気を付けて」
「……はい」
答えるのに少しだけ間が空いてしまったのは、断じて『さみしい』とかそういう気持ちからじゃない。
……けど、きっと。この人とこうやって話すことはもうないんだろうなって。
きっと、これが最後なんだろうなって。
そう思ったら、少しだけ、ほんのちょっとだけ、……残念、だなって。
「すみれ」
不意に名前を呼ばれる。
テーブルの上のバッグに柴沼さんがくれたビニール袋を入れながら振り向くと、真顔の久我さんがこちらを見ていた。
「はい?」
「すみれ、ほんとに彼氏いない?」
「……なんですかそれ。いないって言ってるじゃないですか」
つい拗ねたような表情になる。これ以上自分の失言を抉られて、一体何だというんだ。
すると久我さんは、1歩こちらへと近付いて来て。