レーザービームの王子様
子ども扱いされるのが嫌でつい顔を歪めそうになるけれど、はあ、と大きく吐息をもらすことでなんとか堪えた。



「……わかってる。別に私、いい気になったりしてないし。でもあんたが心配してくれてるのもわかってるから、一応ありがと」

「おー」



こちらの言葉に返事をして、総司がくしゃりと私の髪を撫でる。

昔から、たまにされることがあったその仕草。することは同じはずなのに、少し前、久我さんに撫でられたときとはまた感触が違う気がして、なんとなく自分の頭に触れた。

……まあ、相手が家族同然の幼なじみとよく知らない男の人じゃ、自分の感じ方が変わるのは当たり前か。


少し連絡を取り合ってるだけで、思い上がったりなんかしない。久我さんは、私とはまったく違う世界を生きている人だ。私に連絡先を訊いて来たのだって、ただの気まぐれだっただろうし。

そう考えたとき、少しだけ、ほんの少しだけ、胸の奥に違和感を覚えた気がしたけれど。



「……むっちゃん、私またウーロンハイと味玉欲しいな」

「はいよー」



私はそれを気のせいにして、むっちゃんに追加のオーダーを頼んだのだった。
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