レーザービームの王子様
「そう。じゃ、次来てもらったときの支払いから差し引けるようにとっとく」
「別にいいっつの……」
やっぱり酔ってるせいか、久我さんの口調はかなり雑だ。
カウンターに片手をつきながら、彼が立ち上がる。
けれどもすぐにふらついたので、私はあわてて手を貸した。
「もー……久我さん大丈夫ですか? タクシーまで歩けそう?」
「余裕」
いや、全然余裕なんかじゃないでしょ。目ぇ据わってるし。
久我さんの腕を支えつつよたよたと出口に向かって進もうとしていたら、店員のお兄さんも手伝ってくれた。大将は見てるだけだってのにいい人だ……。
「あ、すみれちゃん。ひとつ言い忘れてた」
不意にそう言ったかと思えば、むっちゃんがカウンターを出て近付いて来る。
訝しむ私をにっこり笑顔で見下ろした彼は、まるで内緒話をするように私の耳元へくちびるを寄せた。
「この酔っ払いお兄さんの身元引き受け人に、すみれちゃんを呼んだ1番の理由。……尚人くんがお酒飲みながら、『すみれに会いたいなあ』ってぽろっと言ったからなんだよね」
「……ッえ、」
「現に、すみれちゃん来たとたんちゃんと帰ろうと動いたし? いやー、若いっていいなあ」
にやにやといやらしい笑みを浮かべるむっちゃん。私は何と答えるべきかもわからなくて、とりあえず照れ隠しにそのしまりのない顔を睨みつける。
それでもまったく堪えた素振りも見せないむっちゃんは、「また来てねー」とにこやかに手を振った。
「別にいいっつの……」
やっぱり酔ってるせいか、久我さんの口調はかなり雑だ。
カウンターに片手をつきながら、彼が立ち上がる。
けれどもすぐにふらついたので、私はあわてて手を貸した。
「もー……久我さん大丈夫ですか? タクシーまで歩けそう?」
「余裕」
いや、全然余裕なんかじゃないでしょ。目ぇ据わってるし。
久我さんの腕を支えつつよたよたと出口に向かって進もうとしていたら、店員のお兄さんも手伝ってくれた。大将は見てるだけだってのにいい人だ……。
「あ、すみれちゃん。ひとつ言い忘れてた」
不意にそう言ったかと思えば、むっちゃんがカウンターを出て近付いて来る。
訝しむ私をにっこり笑顔で見下ろした彼は、まるで内緒話をするように私の耳元へくちびるを寄せた。
「この酔っ払いお兄さんの身元引き受け人に、すみれちゃんを呼んだ1番の理由。……尚人くんがお酒飲みながら、『すみれに会いたいなあ』ってぽろっと言ったからなんだよね」
「……ッえ、」
「現に、すみれちゃん来たとたんちゃんと帰ろうと動いたし? いやー、若いっていいなあ」
にやにやといやらしい笑みを浮かべるむっちゃん。私は何と答えるべきかもわからなくて、とりあえず照れ隠しにそのしまりのない顔を睨みつける。
それでもまったく堪えた素振りも見せないむっちゃんは、「また来てねー」とにこやかに手を振った。