レーザービームの王子様
今日のウィングスは、すぐそばにある球場でデーゲームだったはず。
試合をした後で疲れているだろうというのに、「どうせ次の日はホームでナイターだから」という理由で、彼は今夜の食事を提案して来た。
今目の前にいる久我さんは、当然ながら私服で。白いカットソーに淡色のデニムシャツを羽織り、ボトムスはクロップドチノという、一見さわやか好青年風に見えるファッションだ。
つい数時間前まで泥で汚れたユニフォームに身を包み、野球で汗を流していたとは想像がつかない。
……と、いうか。
「あの、久我さん……帽子とかサングラスとかで、顔隠さなくて大丈夫なんですか?」
私の方がちらちらまわりを気にしながら、こっそり訊ねる。
有名人がプライベートで街中を歩くときって、それなりに変装して顔を隠すものだと思ってたんだけど。実際、初めて会ったときの久我さんはサングラスしてたし。
けれど今目の前にいる彼は、ワックスで流した短髪どころか、その端整な顔までも堂々と外にさらけ出している。
これでも私、一応女ですし。一緒にいるこの状況、ファンとか記者に見つかったらマズいんじゃない?
声をひそめるこちらの心配をよそに、当の久我さんは飄々としたものだ。
「平気。もう夜だし、みんなたいして他人の顔見てないって。野球選手なんて、ユニフォーム脱いじゃえば案外気付かれないモンだよ」
「えぇ……」
「それに、今までの経験から言うと帽子かぶってない方が意外とバレないんだよな。俺らの場合、テレビ映るときは帽子かぶってること多いから」
「あ、」
そっか。たしかに、プロ野球選手がスポーツニュースとかでゲスト出演したとき、一瞬誰かわかんなかったりするよなあ。
野球のユニフォームとキャップの力、すごい。ユニフォーム着てるとそれだけで当社比3割増かっこよく見えるしな……(偏見)。
試合をした後で疲れているだろうというのに、「どうせ次の日はホームでナイターだから」という理由で、彼は今夜の食事を提案して来た。
今目の前にいる久我さんは、当然ながら私服で。白いカットソーに淡色のデニムシャツを羽織り、ボトムスはクロップドチノという、一見さわやか好青年風に見えるファッションだ。
つい数時間前まで泥で汚れたユニフォームに身を包み、野球で汗を流していたとは想像がつかない。
……と、いうか。
「あの、久我さん……帽子とかサングラスとかで、顔隠さなくて大丈夫なんですか?」
私の方がちらちらまわりを気にしながら、こっそり訊ねる。
有名人がプライベートで街中を歩くときって、それなりに変装して顔を隠すものだと思ってたんだけど。実際、初めて会ったときの久我さんはサングラスしてたし。
けれど今目の前にいる彼は、ワックスで流した短髪どころか、その端整な顔までも堂々と外にさらけ出している。
これでも私、一応女ですし。一緒にいるこの状況、ファンとか記者に見つかったらマズいんじゃない?
声をひそめるこちらの心配をよそに、当の久我さんは飄々としたものだ。
「平気。もう夜だし、みんなたいして他人の顔見てないって。野球選手なんて、ユニフォーム脱いじゃえば案外気付かれないモンだよ」
「えぇ……」
「それに、今までの経験から言うと帽子かぶってない方が意外とバレないんだよな。俺らの場合、テレビ映るときは帽子かぶってること多いから」
「あ、」
そっか。たしかに、プロ野球選手がスポーツニュースとかでゲスト出演したとき、一瞬誰かわかんなかったりするよなあ。
野球のユニフォームとキャップの力、すごい。ユニフォーム着てるとそれだけで当社比3割増かっこよく見えるしな……(偏見)。