私と彼をつなぐもの。

家政婦とごみ男。

次の日、出勤するためにマンションを出ると、駐車場から黒宮さんの車が出てきた。

「よぉ。今から出勤？」

スーツを着てきちんと髪をセットした黒宮さんのかっこよさは半端ない。

私って、スーツ男子好きだっけ？てゆーか、やっぱりスーツは３割増しでかっこ良く見えるっ！


でもきっと、本当は、私が黒宮さんの事を好きだって自覚してしまったからかもしれない。


「おはようございます。黒宮さんも今から出勤ですか？」


「おー。今日は北海道までの往復なんだわ。」


「北海道。いいですねー。行きたいなぁー」


「でも俺が行くのは空港までだからな、どこの空港もそんなに変わんないって。」


「えーそういうもんですか？」


クスクスと笑う私。
そして、私を見つめながら微笑む黒宮さん。


「乗ってけよ。どうせ同じとこ行くんだから。」


「えっ。でも悪いですよ。いいですよ電車で。」


さっきまで微笑んでいたと思ったら今度は急に不機嫌な顔。


「………乗ってけって言ってんの。そんなに俺の事嫌なわけ？」


「い、嫌とかそーゆーんじゃなくって……」



だって一緒に出社したら目立つし。
なにより。
恥ずかしいし。


そんな私の気持ちをわかってくれるはずはなく、ずっと不機嫌な顔で私を見る黒宮さん。


ため息をつくのと同時に、息を深く吸い込んで気持ちを落ち着かせると頭を下げる。


「わかりました。ではお願い致します。」