私と彼をつなぐもの。
***

午後8時。私は自宅で二人分の夕食をテーブルに並べる。今日のメニューは、エビフライ。それからポテトサラダに、スープにサラダ、ご飯。


そして。


今日の献立に全く合わないけどなぜか作ったピーマンの肉詰め。



「………おい。なんだこの嫌がらせは。」


眉間にシワを寄せピーマンの肉詰めを指差す黒宮さん。


「………エビフライ。好きなんですよね?」


「好きだ。でも、ピーマンは嫌いだって朝言っただろっ!」


「苦手なものも、ちゃんと食べましょうね。好きなものも、用意してあるんですから。とりあえず、一個食べてみましょう。」


「ええぇー。やだー。」


クッションを抱え横にバタンと倒れる黒宮さんを『可愛い。』って思わずにやけそうになるのを我慢して、私は冷静な顔をつくる。


「じゃあエビフライもあげません。」


ばっと起き上がると私の方をチラッと見ると
「…………鬼だ。」
と言いながら箸でピーマンの肉詰めを掴む。そして、一気にパクっと食べる。

-そしてもぐもぐとゆっくり噛んでごっくんと飲み込んだ。


「…………ヤバイ。」


口元を押さえながら呟く。


「えっええぇ!?まさか気分悪くなりました?」


慌てる私を見つめながら一言。


「すっげーうまいんだけど。」


予想外の言葉に一瞬ポカンとしてしまう。そして頭の中で繰り返す。


『うまい』『すっげーうまい』





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