伝言~最後のメッセージ~





テレビを見ているときに、出ていた

アルツハイマーに掛かった女子高生

その子が、一人の男の子に愛されていた

少しの親近感

その子は、笑っていた

記憶はなくても、その男の子に向って



「ねえ、この男の子優しいね」

「瑠奈みたいだな」

「私もこうなりたいな」

「…………なってるよ」

「へ?」



洗濯物を畳む手を止めた

じっと、彼は私を見てくれていた

そして、ニコッと笑った



「十分、瑠奈は優しいよ」

「…………」

「生きてく光は、瑠奈がくれた」

「…………」

「詩人でしょ?」



もしこれがドラマなら

ラブソングがここで流れるだろう

回想シーンが流れるだろう

でも、ドラマだけじゃなくて

私にはそれが聞こえ、見えた

失うものは多かったけど

信じれるものも増えていた



もう、泣かない

だって強くなりたいから

助けなんかいらない

そういう自分になりたい





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