淡いカルピス
「よーし、 上野山 バスケ混ぜろ」
うっちーが葵くんに絡みに行く。葵くん そういえば上野山って言う苗字なんだっけ。
「え、嫌ですよ 暑苦しい…」
さらっとうっちーにひどい事を言いながらボールをポンポンと床に当てる。
「え、先生に負けるの怖いの?」
その言葉で葵くんがムッとした表情をする。
"可愛い"
自分の思った感情にびっくりして固まってしまう。
また、音が鳴る。
「じゃあ、あっち側のチームに入ってください。敵です。」
目が闘争心に燃えてる。
葵くんとうっちーが向かい合わせになる。
審判の男の子がボールを高くあげる。
ボールに手が触れる。 ボールをはじき飛んだ。
また風がないのに何かが吹き抜ける。
炭酸じゃない 普通のカルピスなのに炭酸みたいに弾けそうだ。
コップの水滴が指に触れる。
冬なのに 動いないのに 身体が熱い。
氷がどんどん溶けていく。
気づけば葵くんを見るのが恥ずかしくて、
いつの間にか 試合が終わってた。
結果なんてどうだっていい。
薄まったカルピスをそっと口に運ぶ。
「なんだろこれ…」
知らない。こんなカルピス初めてで、
絶対不味いのに、美味しくないのに、
なんでこんなに、幸せなんだろう