遠距離なんて気にしないッ!!!!
浅河?誰だろ。

「あー緋芽菜知らないか、
2年生にしてサッカー部に現れたスター
って呼ばれてる人よ。」

ふーん、そーなんだ。

「うまい人はみんなクラブチームに
入るでしょ?でも浅河くんはサッカー部
なんだよね。」

沙愛が浅河くんについて説明してくれるけど私にはあまりピンと来ない。

「ま、イケメンだし人気あるってこと。」

あーなるほど。そういう系ね。

体育館でも沙愛と前後で並び、
隣には春川くん。

「なーなー、」

もうこの人本当にやだ。
なんで話しかけてくるの?
無視してるの分かんないわけ?

「朔来さー、男嫌いっしょ」

え?なんでこの人分かるの?
驚いて目を見開き、春川くんを見る。

「お?まさかのあたり?」

図星なのが嫌で嫌で仕方なくて、
目をそらして前を向いた。
何でこんな人に知られちゃうの。

「なんで男嫌いなの?」

私が何も答えないからか、さっきとは違う
優しい声色で聞いてくる。

「私を傷つけるから。
信じさせて離れていくから。
強要するから。」
「緋芽菜、もうやめな。
こんなとこで話す内容じゃないよ。
春川も、やめてあげて。」

ハッと我に返る。無意識に話してた。
危ない、沙愛が助けてくれてよかった。

春川くんは
「そっか。また、話聞いてやるからな。」
と言って私の頭を撫でようとする。

その瞬間私は春川くんの手を振り払った。

「同情の優しさなんていりません。」

私の目はハッキリと彼を見据えていた。
怖いけど。足が震えるけど。
それでもこれだけは言わせて欲しかった。
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