遠距離なんて気にしないッ!!!!
中途半端な優しさなんかいらない。
離れていくなら最初から近寄らないで。

「ふーん、明日、2時間目屋上な。」

屋……上…………

言葉が出なくなってしまい、
どうすることもできずにいると、
沙愛が後ろから声を発した。

「春川さー、まじで緋芽菜のこと助けるつもりあんの?緋芽菜のこと裏切ったり傷つけたら本気で怒るからね?殺すからね?」

沙愛は春川くんの胸ぐらを掴み、
一気に喋る。
沙愛は、いつもこうなんだ。
私が傷つかないように、最善を考えてくれる。

「裏切ったりなんかしねーよ。
誰と比べてんのか知らねーけど、
馬鹿にすんなよ。」

春川くんと沙愛が睨み合う。
怖くて思わず身を震わせる。
すると沙愛がフッと笑った。

「いーよ、緋芽菜、明日行きな。」

「え!?今何が起こったの……」

パニくってると、沙愛が言った。

「こいつは信用できる。そんな気がする。」

沙愛が真剣な瞳で私を見つめる。
そっか、こんなにいつも私を心配してくれる沙愛が言うなら間違いないか。

「分かった。明日行くね。」

こうして、いつの間にか始業式は終わっていたのだった。
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