毒舌王子に誘惑されて
4.鉄は熱いうちに打て!?
とうとう問題の土曜日がきてしまった。

今日ばかりは急な仕事が入ればいいのにと願ったけど、編集部は平和そのもので無事に1日お休みになった。

会社での葉月君はデートの話なんて無かったことのようにいつも通りだった。
昨日だって何も言ってなかったし、やっぱり冗談だったのかも・・。
第一、私は行くなんて一言も言ってないんだし行く必要ないはず。

そんな風に思って、ベッドにゴロンと横になる。


ーー適当に待つの適当ってどのくらいだろう。 行かないのなら、せめて連絡くらいするべきかな。

もぞもぞとベッドから起き上がって、携帯を探す。


そんなことを延々と繰り返してるうちに、家を出ないと待ち合わせに間に合わない時間になっていた。


「あ〜〜もうっ。 なんなのよ、あいつ。
何で貴重な休日にこんなに悩まなくちゃいけないのよ」

ぶつぶつと文句を言いながらも、私は結局は六本木へと向かう電車に乗っていた。

ふと、電車の窓ガラスに映る自分の姿が目に入る。

オフホワイトのざっくりしたニットにスキニーのジーンズ。 鮮やかなブルーのバレエシューズに同じ色味の小さなバッグ。 意外と暖かかったら、スプリングコートは脱いでしまった。
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