毒舌王子に誘惑されて
「ココ・シャネル展??」

「そう。 嫌ですか? 」

葉月君が連れてきてくれたのは六本木のイベントホールで、シャネルの創始者であるココ・シャネルの企画展を開催していた。

「ううん。 時間あったら行きたいと思ってた」

私は素直にそう言った。

「だと思った。 映画とかより、美織さん好みかと思って」

貰ったパンフレットをワクワクしながら眺めている私を見て、葉月君は満足気に目を細めた。



企画展はとっても素敵だった。

ココ・シャネル本人の写真や貴重な直筆のデザイン画などが並べられていた。
特に良かったのがシャネルの洋服を着た往年の大女優達の写真だ。

どの女優も美しい洋服に負けない個性を放っていて、写真とは思えない迫力があって、圧倒されてしまった。


葉月君は何も話さず、企画展に夢中になっている私に付き合ってくれていた。

手は繋がれたままだったけど、いつのまにか馴染んでしまって気にならなくなっていた。


「はぁ〜、素敵だった。やっぱり憧れち
ゃうな」

ランチを兼ねて、近くのカフェで休憩することにした。
私はパスタランチ、葉月君はピザを注文した。

「元祖キャリアウーマンって感じで、かっこいいですよね」

葉月君はピザ一切れをぺろっと口に入れた。 細いわりに食べるのが早いのには、いつも驚かされる。
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