毒舌王子に誘惑されて
「やっぱりいつかはシャネルスーツが似合う女になりたいなぁ」

「うちにいる限りは全く必要ないですけどね」

私の楽しい妄想に葉月君が冷静なつっこみを入れる。

デートって単語に何だか身構えていたけど、葉月君は会社にいる時とそう変わらなかった。

私も自分のペースを取り戻して、この時間を結構楽しんでいた。


「お詫びなんだから今日は私が全部出すよ」

トイレに行ってる間に会見が済んでしまっていたので、お店を出てから私は葉月君にお金を渡そうとする。

企画展のチケットは貰いものだからと言い張る葉月君に押されて私は払っていなかったし、一応は先輩なんだからランチ代くらい何としても払いたいところだ。

「そういうおばちゃんぽいセリフ、モテないですよ」

葉月君が冷たい視線を向けるけど、ここは私も譲れない。

「モテなくていいから、払わせて」


「あのですねー」

葉月君は呆れ顔で私を見つめる。

「お詫びにご馳走して欲しいんなら、そう言いますって。 俺はデートしてくださいって言ったじゃないですか」

「けど・・」

聞きたいけど聞けない、そう思っていた疑問を私は口にする。


「なんで、私とデートなの? 葉月君もてそうだし、デートする相手なんていくらでもいるでしょ」
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