毒舌王子に誘惑されて
買い物、といってもウィンドウショッピングだけど、これも意外と楽しかった。

私の洋服を一緒に見て葉月君が横から口を出したり、葉月君の部屋のインテリアを私が考えたり。

葉月君が良くも悪くも正直な人だからか、私もいつもより素の自分を出せている気がする。

見栄っ張りで、ついついカッコつけてしまう私には珍しいことだった。



「美味しかった〜さすがに食べ過ぎちゃったかも」

お夕飯は私のリクエストでもつ鍋を食べた。二人で食べるには結構な量だったけど、美味しくて完食してしまった。

「散歩もかねて駅まで少し歩きますか」

私はビールを2杯程度だったけど葉月君は結構飲んでいたのに、ちっとも顔色が変わっていない。


冷たい夜風がお酒で火照った肌に気持ち良かった。

私は葉月君の少し後ろをゆっくりと歩いていく。

上を向けば六本木の高層ビル群が放つ白い無数の光、下を向けば切れ目なく繋がる赤いテールランプ。

「綺麗・・・」

こんなにゆっくりとした速度で歩くのはどのくらいぶりだろう。

忙しい毎日は性に合ってるし働いてる実感があって好きだけど、たまにはゆっくり歩いてみるのも悪くないなぁ。
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