毒舌王子に誘惑されて
エピローグ
「どうぞ」
「お、お邪魔します」
いくぶん緊張気味に、初めて訪れた葉月君の部屋に私は足を踏み入れた。
必要最低限の家具しかないシンプルなワンルーム。
会社のデスクの酷い散らかり具合と比べれば意外と綺麗だけど、いかにも男の一人暮らしといった雰囲気だ。
自炊したことないとの宣言通り、キッチンだけが新品のようにピカピカなのが何だかおかしかった。
急遽差し替えになったラーメン特集も無事に校了を終え、明日の発売日を待つのみとなっていた。
私が葉月君に告白したあの日から、ちょうど一週間が過ぎていた。
入稿さえ終われば暇になるかと言えば、もちろんそんな事はなく平日は二人で改めて過ごす時間なんて皆無だった。
だけど、無理にでも入稿の後に時間を作っておけば良かったと私は激しく後悔している。
だって・・
時間が経って冷静になってしまうと、あまりにも恥ずかしい。
こういうことって勢いも大事なのよね。
「えっと、なんかお腹空かない?何か作ろうか?」
二人きりでいる気恥ずかしさと緊張に耐えかねて、私は座っていたソファから勢いよく立ち上がろうとしたーーけれど、その行動は葉月君に阻止された。
葉月君は私の腕を引き、ソファに座らせる。
「全然空いてないです。飯はさっき、がっつり食ったでしょ」
「あははっ。そうだよね〜 でも、ほら、おつまみとかあった方がいいかなって」
テーブルの上には葉月君の用意してくれた冷たいお茶があるだけ。
おつまみなんて要らないのは承知の上で、私は言ってみた。
「お、お邪魔します」
いくぶん緊張気味に、初めて訪れた葉月君の部屋に私は足を踏み入れた。
必要最低限の家具しかないシンプルなワンルーム。
会社のデスクの酷い散らかり具合と比べれば意外と綺麗だけど、いかにも男の一人暮らしといった雰囲気だ。
自炊したことないとの宣言通り、キッチンだけが新品のようにピカピカなのが何だかおかしかった。
急遽差し替えになったラーメン特集も無事に校了を終え、明日の発売日を待つのみとなっていた。
私が葉月君に告白したあの日から、ちょうど一週間が過ぎていた。
入稿さえ終われば暇になるかと言えば、もちろんそんな事はなく平日は二人で改めて過ごす時間なんて皆無だった。
だけど、無理にでも入稿の後に時間を作っておけば良かったと私は激しく後悔している。
だって・・
時間が経って冷静になってしまうと、あまりにも恥ずかしい。
こういうことって勢いも大事なのよね。
「えっと、なんかお腹空かない?何か作ろうか?」
二人きりでいる気恥ずかしさと緊張に耐えかねて、私は座っていたソファから勢いよく立ち上がろうとしたーーけれど、その行動は葉月君に阻止された。
葉月君は私の腕を引き、ソファに座らせる。
「全然空いてないです。飯はさっき、がっつり食ったでしょ」
「あははっ。そうだよね〜 でも、ほら、おつまみとかあった方がいいかなって」
テーブルの上には葉月君の用意してくれた冷たいお茶があるだけ。
おつまみなんて要らないのは承知の上で、私は言ってみた。