吸血鬼に甘い鎖を
『おい、リヴィア!!!』



聞きなれた声に振り向くと、
そこにはクロト君の姿。



「クロト君ッ!!!」



私はその隙に何とか逃げて
クロト君の腕の中へと飛び込む。




『咲、大丈夫か?』


その腕で包みながら、
やさしく聞いてくれる。



「うん!」


ほっとしつつリヴィア君を
見つめる。




『…なんでリリーナを
一人にしたんだ』



…リリーナ…?



明らかに女性の名前ですけど。



ひょっとして、
クロト君たちに
かかわりのある人だったりして…。



リヴィア君は
しれっとした顔で、




「知ってたのか。

おまえはあんまりこっちに
戻らないから
気づいていないもんだと思ってた」




『…おまえが訳もなく
一人で人間界に来るわけないだろう』


妙に真剣なクロト君の口調。





…どうしたんだろう。




会話を見つめることしかできない私は
ただ端っこで想像するばかり。





「…別に。

来たかったから来ただけだ」





『嘘言うなッ!!!!』









< 100 / 168 >

この作品をシェア

pagetop