吸血鬼に甘い鎖を
『人間の花嫁の、血…?』


クロト君も知らなかったと
言いたげに口を開く。





「…ああ。

それがあればリリーナを治せる。


別にリリーナを
置いてくる気なんて
これっぽっちもなかったさ。



それに、これはアイツも
了承した上での話だった」





「…だから執拗に
私を追っかけてたんだ」



その言葉にリヴィア君は
少し苦笑し、




「…ああ。

けど途中でおまえを見てるのが
楽しくなってきてな。


こいつを騙して
連れて帰るのが…
だんだん辛くなっちまったんだ」




『…思わぬところで
本気になっちまった、ってやつか』


クロト君もそれとなく納得。




「…いいよ、血なら」






『咲ッ!?』


クロト君がびっくりして
私を見つめる。




「花嫁ってのは無理だけど。


血をあげるくらいなら
クロト君にしてるし」



痛いのは嫌だけど…。


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