吸血鬼に甘い鎖を
「異能者だ!

陛下のところへ連れて行け!」



あわてた兵士さんたちが
私を捕まえて縄を当てようとする。




『おいッ、やめろッ!!!

そいつは俺の花嫁だぞッ!!』



「…まだ恋人なんだけど」


まぁ今はそんなこと
言ってる場合でもないから
言わないけど…。




「…そ、そうでしたか。


…しかし、人間の娘が
契約者であられるとは…」



兵士たちが驚きながら縄を解く。





「…リリーナの容体はどうなんだ」



いいかげん話を進めたいと
言いたげに女性のそばへと歩み寄るリヴィア君。




少し知識のありそうな
おじいさんが言った。





「…どんどん弱ってきています。


リヴィア様のくれた薬で、
多少は進行を抑えられては
いるようなのですが…。


…ですが姫様の身体はもう…」



…姫…。





『…リリーナはな、リヴィアの妹なんだ』



ここでやっと
リリーナさんの素性を知ることができた。




妹…?



『…昔はよく3人で遊んでいたんだがな。

アイツはもともと病弱だったから
歳を重ねるにつれて
遊ぶ回数も減っていった。


けどリヴィアは
毎日見舞いに行ってたな。


リリーナは移るからやめたほうがいい
って言ってたのにきかなかったしな』



思い出すように小さく笑う。



…リリーナさんは、
クロト君にとっても大切な人なんだね。




私はそう思った。
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