吸血鬼に甘い鎖を
ツー…。



リヴィア君が小さく腕に
傷を作る。



長い長いその爪で
キレイに線を描いたら
そこから少しずつ血が流れ出す。




『痛くないか?』


心配そうに見つめるクロト君の
隣で、リヴィア君が不機嫌そうに
告げる。



「…当たり前だろ。
おまえは心配しすぎ」



「うん。本当に大丈夫。
全然痛くないよ」


不思議だなぁ。


血はだらだら出てるのに。




…この血を、
リリーナさんに滴らせればいいんだよね。




リリーナさんの口に、
そっとその腕を近づける。




するとかすかにリリーナさんの身体が
ぴくっと動いた。




『…リリーナの身体が動いた』




「アイツの血に反応してるんだろうな」






…ポタッ。






そして、血はリリーナの
唇へと落ちた―――――――――
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