吸血鬼に甘い鎖を
「………」



大丈夫。



きっと…。






ピクッ。



かすかに、指が動いた。



そしてうっすらと、
ゆっくりときれいな赤色の瞳が
現れる。





「…お兄…様…」






「…リリーナ…!!!!」




リヴィア君は泣きそうな顔で
リリーナさんのもとへと走って行った。






「…ふあぁ…。疲れちゃった」



なんか変に緊張しちゃったよっ!





思わずへたり込んでいると
そこに手を貸してくれるクロト君の姿。




『よくやったな、咲』




「ありがと、クロト君」





遠巻きに見つめていると
リリーナさんが体を起こす。





「姫様!
まだ安静にしていませんと…」




「回復なさったばかりですぞ?

またぶり返したりしたら…」



心配そうにする兵士や老人たちの
声を無視して立ち上がった。






「…クロト兄、そしてそこの方…。


助けていただいて、ありがとうございます」

そう言って
ペコリと頭を下げた。




「い、いえいえっ。

そんな大したことしてないですし…!!!」




ひゃぁぁ…!!




とってもきれいな人だなぁ。

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