吸血鬼に甘い鎖を
クリーム色のつやつやした
綺麗な髪。


毛先が少しだけまいてあって
なんだか本当に王族の人みたいだった。




瞳は、吸血鬼なのでやっぱり赤色。



「…リリーナ、
お礼を言いたいのはわかるが
とりあえず寝ろ。


完治しないとサキたちが
頑張った意味がないだろう」


…いや。


頑張ったって言うほどすごいこと
してませんよ、私。




リリーナさんは
少し悲しそうな顔をして




「…お兄さまのイジワル」



そう言ってそそくさと
部屋へ戻って行った。





「…ふぅ。

一件落着…かな?」





『…ああ。

そいじゃぁさっさと帰るかな』




「なんでだよ。
ついでなんだからゆっくりしてけ。

礼もしたいしな」



その言葉に微妙な顔のクロト君。






『…いや、いい。

さ、帰るぞ咲』



妙に帰りたがりそうな
クロト君に私は言葉をかけた。






「…なんでそんな帰りたがるの?

私もうちょっと見ていきたいけどなぁ」




『…いやだからそれは…』
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