吸血鬼に甘い鎖を
「…す、すご」


そりゃあんな風に親バカにも
なるよね…。


でも、クロト君を大切に
思っているんだなぁ。



ぼやぼや考えていると
なにやらあちらでも、
私たちに聞こえない話を
しているようだった。





「で、クロト?

咲殿を連れてきたということは、
おまえは私の跡を
継ぐ気があると考えていいのかい?」


あやしげに眼を光らせ
そばにあった紅茶を一口。





『…アホ親父。

俺はその件に関しては
やらないって言っただろう』





「けど忘れたのかい?

おまえがこの国を出る前に
一度賭けをしただろう」


その言葉にギクッとなる
クロト。



『…覚えてたのか』



「忘れるわけがなかろう。


…しかし、あの賭けは私の勝ちの
ようだな。


…おまえがあの子を
大切にしているという思いが
ひどく伝わってくるよ」




微笑しながら、静かに咲を
見つめる。





クロトも、咲を見つめ
大切そうに、愛おしそうに見ていた。







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