吸血鬼に甘い鎖を
次の日。


外から光が差し込んで、
鳥がさえずっていた。



「…ん…って!

学校ッ…!!!」




「フフフ。

大丈夫ですよ。

学校はありません」



え…?


きれいな声に耳をすますと、
窓のそばにリリーナがいた。



「り、リリーナさんっ…!?


え、えと…体はもう…?」



リリーナはにっこりと
笑って赤い瞳を輝かせた。




「おかげさまで。

本当にあなたのおかげです。


吸血鬼は血の亡者みたいな
ものですから、
回復力もとても高いんですよ」




…そうなんだ。




「今日はお礼をさせてほしくて。

咲さんに、この国を
ご案内しようと思っているんですけど」




「あっ。

ありがとうございますっ…!!」




クロト君の国を見られるのかぁ…。





…ん?





「あ、あの。

クロト君ってどこにいるんですか?」




姿が見当たらないよね?



いつもなら



『咲ぃぃーッ!!!』



って飛びついてくるのに。
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