吸血鬼に甘い鎖を
「…さっきはすみませんでした。

バカ兄貴があんなことを…」


…すでに呼び方まで
変わってます。




「い、いいよ。

クロト君なら怒っただろうけどね!」


…あれ?



…なんでクロト君の
名前出てくるんだろう。




ここには、いないのに。





「さ、朝食を食べに行きましょう!」



「う、うん…」



「…もちろんお兄さまは
来なくてよいですからね」



冷たい目でリヴィア君を
一瞥してから、


るんるん気分で
私の手を引くリリーナさん。













「…サキ…。


クロトが…」




沈没したリヴィア君の言葉を、
私が最後まで聞くことはなかった。
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